黒髪山秘境の窯元 宝寿窯ってどんな窯元?
黒髪山は標高が低いことで知られていますが、一方ではスリルがある登山の名所としても有名です。 一方、宝寿窯は黒髪山の麓で作陶を行っている窯元で、有田焼をベースとした作品作りに励んでいるのが特徴です。 創りたいものを創りたい時に創りたいように作る、これがこの窯元が掲げる制作コンセプトです。 また、自然が創り出す天然の模様に注目して、人が意図的に作り出せないデザインに目を向けているのもポイントです。
個性的な作風
宝寿窯を代表する山本文雅の作品は、既存の有田焼概念を突き抜けた強烈な個性が特徴的で、見る人を惹きつける作品揃いとなっています。 黒髪山の美しい自然環境とゆったり流れる時間に身を任せ、内側から溢れ出る力強さを表現しているのが、宝寿窯に共通する作品の魅力です。 ロックかつモダンで、頭に浮かび感じ取ったものがそのまま表現されている形です。 確固たる世界観があって、他の窯元では手に入らない作品ばかりですから、根強いファンがいるのも頷けます。
佐賀県武雄市の窯元
男性的な作風から男性ファンが多いイメージですが、実は女性ファンも少なくないといえます。 一見した時に受ける印象とは異なり、よく見ると洗練されていて重厚感や深みも感じさせます。 守りに入るのではなく、攻めの姿勢で新しい有田焼に挑戦している窯元ですから、新しい作品にはいつも注目が集まります。 勿論、伝統的な有田焼を蔑ろにしているわけではなく、伝統を大切にしつつ独自の表現を模索しています。 イベントや企画の出品に積極的で、地元の武雄市では目にする機会が多いですから、宝寿窯は地元を中心に広く知られている窯元です。
宝寿窯の歴史
宝寿窯は1963年に誕生のルーツを持ち、1980年の佐賀県展入選を切っ掛けに、国内外での作品出品が行われました。 1990年にはニューヨークジャパン大賞受賞、翌1991年に国際芸術ニューヨーク展国際芸術大賞受賞と、立て続けに注目を集めることになります。 このように海外で高く評価されているわけですが、1993年以降は日本国内にフォーカスして、年数回各地で開催される個展に注力しています。 ゴツゴツとした質感の焼物はまるで岩石のようで、非常にロックなことから人を選びそうな印象ですが、これもまた山本文雅の作品の個性です。
作品の特徴
作品には有田焼のテイストが見られますが、デザイン科卒の作家らしいデザインセンスが散りばめられているので、宝寿窯の作品は他に類を見ないです。 代表的な作品のロックシリーズは、山本文雅の生まれ育った黒髪山の登山口にある石がヒントで、石に魅せられたことが作品作りの切っ掛けになっています。 固くなった陶土の塊を石で叩き、中をくり抜き成形していくのが特徴的です。 更に、外側をバーナーで焼いたりひび割れを引き起こすなど、有田焼の伝統的な成形に囚われない作風が個性を形作っています。 型破りと言えなくもありませんが、人まねをせずに独自の技法を開拓しようとしたことから始まった窯元なので、1つとして同じ作品はないです。