【有田焼】夫婦茶碗 鷺図

元禄四年の開窯より、臥牛窯の刷毛目紋様は類を見ない圧倒的な表現力で一世を風靡してきました。しかしながら、その輝きの軌跡は多くの謎に包まれながらいつの間にか閉ざされ、当時の品は「幻」の銘陶となります。その幻の技法を幾多の試行錯誤を経て、現代に蘇らせたのが十二代横石臥牛です。現在、十四代が先代から託された現川焼の再現と、新しい刷毛目を創造し続けています。

鷺（さぎ）は、「路（みち）」と「鳥（とり）」の2文字で構成されており、路を開く鳥というゲン担ぎと開運の意味を持つ吉兆の証として古来より大切にされてきました。茶碗上には、鷺のなかでも白い身体が特徴で、夏羽にしか生えない後頭に二本の長い冠羽を持つコサギが描かれています。背景上の斜めに流れでる刷毛目の線は、枯れ草や稲穂のようにも見え、季節の移ろいや侘び寂びなど深みのある情景が想像できます。

この夫婦茶碗では、臥牛窯の得意とする鷺が写実的に描かれており、今にも飛び立ちそうな鷺の躍動感さえ感じることができます。刷毛目や磁器の平面に立体的に表された独特の描写など、その類稀な技法こそが、長崎県の無形文化遺産にも選ばれた伝統技法であります。
匠の一筆一筆に込められた様々な情景。飯碗を手に取り、想像しながら格上の食事のひとときをお愉しみください。

茶碗×2　しおり　桐箱

径：12cm
高さ：5.2cm
重さ 140g

※手作り商品のためサイズなどに若干の誤差が生じる場合がございます。