【有田焼】染付竹林紋花瓶 (初代真右衛門作)

400年の伝統を踏襲しながら有田焼の新たな可能性を切り開く、超絶技巧を余すところなく注ぎ込んだ大傑作を特別に入荷いたしました。降りそそぐ光に照らされた竹林は大変縁起が良いとされ、その吉祥の様子を染付の技法を駆使して表現したこの作品は、見る者を魅了します。

有田焼は、安土桃山時代の豊臣秀吉の時代に始まり、朝鮮陶工であり鍋島藩に重宝された李参平によって発展を遂げました。鍋島藩の栄華とともに、400年以上の歴史を誇るこの磁器は、日本陶芸の歴史において独自の進化を遂げて参りました。その技法の一つが、白磁に藍釉で絵を描く「染付」です。この伝統技法を受け継ぎつつ、モダンな作風で有田に新風を吹き込んだのが初代真右衛門です。その作風は国内外で高く評価され、大英博物館にも作品が所蔵されております。

本作品は、世界的な栄誉の誉を授かった初代真右衛門による竹林の世界を表現したもので、独自の世界観をお楽しみ頂けることと存じます。胴張り花瓶のどっしりとした佇まいと、緩やかで魅力的な丸みを帯びた美しいシルエットを形成しています。優しい白磁の素肌には、深い藍色で描かれた竹林の染付が緻密に施されており、白磁の中に息づく竹の生命と自然の木漏れ日が、見る者の心に深い感銘を与えます。

染付の絵付けが乱れないよう、花瓶の表面をなめらかに仕上げる技術は非常に高度とされ、日展会友として名を馳せた氏の手腕の見せ所ともいえます。流れるような筆のタッチが絶妙な美を生み出しており、初代真右衛門自身も「伝統ある有田染付の中にも、どこか温もりのある作品を目指したい」と語っていたそうな。氏の染付作品は、近年海外からの高い評価を受けており、入手は困難を極めます。格別の所蔵価値ある作品をご高覧くださいましたら幸甚に存じます。

※本作 は、転写を用いない手ロクロ、手作りによる”一品物”でございます。