【有田焼】砧青磁草花瓶

釉薬の魔術師、真右衛門の傑作

真右衛門（馬場九洲夫）の壮年期に制作された「五月雨の詩（さみだれのうた）」は、洗練された品格と高貴な風格を持ちます。筒形の優雅なフォルムに、五月雨のように降り注ぐ草花紋を描き、真右衛門の超絶技巧である月白釉を惜しみなく用いた逸品です。

日展特選や現代工芸本会員賞など数々の栄誉を受け、大英博物館にも出品されるような歴史に残る作品を世に送り出してきた真右衛門は、「有田の偉才」としてその名を刻んできました。今回ご紹介する「五月雨の詩」は、その中でも特に希少価値が高いとされる、壮年期に生み出された「月白草花紋（げっぱくそうかもん）」の釉薬技法を駆使した作品です。

器面を流れる釉薬が五月雨を表現し、清廉な中にも強い存在感を放つ本作は、真右衛門が培った神技を余すところなく披露しています。花瓶の表面に浮かぶ霧氷紋の結晶は、見入るほどに私たちの心を浄化し、まさに釉彩の真骨頂を感じさせます。同じものは二つとして作られない、唯一無二の美しさを誇る作品です。

濃青釉により繊細に仕上げられた草花紋の緻密さ、そしてその凛々しい品格がこの作品に特別な魅力を与えています。真右衛門の名作の中でも、これほどまでに希少で価値ある一品が現在手に入るのは極めて珍しいことです。

本物だけが持つ品格と風雅を堪能できる、真右衛門の釉薬の世界をどうぞお楽しみください。

※本作 は、転写を用いない手ロクロ、手作りによる”一品物”でございます。