日本で生産される陶磁器の50%以上のシェアを誇る美濃焼。その特徴と歴史、魅力とは?
美濃焼の魅力とその人気の秘密
美濃焼と聞くと古典的な陶磁器をイメージする人もいますが、実際にはおしゃれなデザインが盛り込まれたものも多く存在します。1300年といいわれる歴史を持っているにもかかわらず、新感覚で使っていける珍しい食器です。伝統工芸品として文化的な価値があるだけでなく、その一方で現代のライフスタイルに合わせた柔軟性も持ち合わせているのです。たとえば、毎晩食卓に並ぶお皿や昼食で用いるマグカップなど、今でも日常生活で大活躍しているのが実情となっています。
もちろん、美濃焼が本来持っている強みもしっかり残してたままです。丈夫で使いやすいことは大きな特徴の一つですが、それによって気軽に使えるメリットがあります。「特徴がない」という言葉が賛辞として使われるぐらい、さまざまなバリエーションが生まれており、さらに多様な方向へ拡張し続けているのです。その結果、日本で使われている食器について、50%以上という凄まじいシェアを獲得するに至りました。
美濃焼の特徴と歴史
美濃焼が多様化しきてたのは前述のとおりですが、それを裏付けるように15種類が伝統工芸品として認定されています。織田信長が台頭した桃山時代になると、千利休なども茶道で活躍する人が多くなりました。美濃焼は彼らの影響もたくさん受けたうえで成長を遂げてきたのです。茶道の発展によって陶磁器として多く知られるようになっていき、一般の人々の暮らしにまで浸透していきました。
岐阜県の名産品として名高い美濃焼きですが、その起源は他の地にあるといわれています。朝鮮を通る形で古墳時代に須恵焼という焼き物が日本にやってきました。それが愛知県をさらに経由して、最終的に美濃焼に変化したという説が有力です。すなわち、とても長い歴史の中で、いろいろな土地の影響を受けながら現在の形に発展していきました。多くの土地にオリジナル性の高い美濃焼が存在するのも、そのような経緯があったからに他なりません。
日常的な食器として認知されていますが、芸術方面にも多くの愛好家がいます。明治から昭和にかけて収集される傾向が強まり、職人も制作を通して自己表現しようとする風潮が強くなりました。ですから斬新な美術品としてミュージアムに展示されているものも多いです。焼き上がりの見栄えも制作者の工夫一つで大きく変わります。基本的に白をベースとしており、全体の質感はゆずの皮に似ているのが一般的です。
焼き上げると小さな気泡のような穴があくタイプも珍しくありません。色に深みを出したい場合は一気に焼き上げるのではなく、日数をかけてじっくりと仕上げていきます。洋風の食事メニューと相性が良いこともポイントであり、流行のスイーツやフルーツの盛り合わせにもうってつけです。電子レンジや食器洗浄乾燥機で使えるタイプも多いので、家事の時短を望む主婦や主夫にも人気があります。これだけ庶民の生活に馴染んでいますが、織田信長から現在の首相にまで使われている由緒正しい食器です。